目次/ Contents
1) 上巻 / First Volume
2) 下巻 / Second Volume
3) 表紙、再び / Covers, Again
『サラバ!』 2014 左 : 上巻 / 右:下巻 作:西 加奈子 (ニシ カナコ / 1977 ~ ) / 小学館 装画 : 西 加奈子 ブックデザイン : 鈴木成一 (1962 〜) デザイン室 "Saraba!" in Japanese : "Farewell!" in English 2014 by Kanako Nishi (1977 ~ ) / Shogakukan Left : First Volume / Right : Second Volume Covers by Kanako Nishi Book Design is by Seiichi Suzuki (1962 ~) Design Room 裏表紙 左 : 上巻 / 右:下巻 Back Cover Left : First Volume / Right : Second Volume |
1) 上巻 / First Volume
『サラバ!』を購入したのは、2017年でした。
購入までについては前回のセクション(下記)。
この本の主人公は、'僕' 歩 (アユム)で、彼の一人称で語られる自伝小説です。
私は、自伝小説は苦手で、チャールズ・ディケンズ (1812 -1870) の
『デイヴィッド・コパフィールド』(1849 -50)、
の2冊しか心に残っていません。
『サラバ!』を読み始めて、ちょっと苦手かも?と読書を続けることを危ぶみましたが、とにかく、読了しました。
楽しめたか?というと、よくわかりません。
ですが読書の楽しみは、苦しみも含まれるのかもしれませんので、そうだとすると楽しんだと思います。
『サラバ!』は、明るい物語でなく、登場人物の気持ちに添うと心は痛み、読むのが辛いので、私には何度も休憩が必要でした。
"僕はこの世界に左足から誕生した。" (上巻 P.6 L.1)
という、個性的な文章から始まります。
上巻は歩の誕生から高校生時代で、彼の家族、父、母、姉、貴子 (タカコ)、彼の各時代の同級生、友人達が描写されています。
姉、貴子の性質は、危うく、時に彼女は暴力的にもなり、母との折り合いも悪い関係です。
歩の姉、貴子の初期の行動には、心が痛みます。
良い子に徹している歩は、気の毒であり、いつか爆発するのではないかと不安になります。
貴子が小学校へ入る時点で、彼女の自己表現は激しすぎ、私は彼女に対しての心の痛みよりも、恐怖を感じました。
歩に対しては、
『彼は自信がしっかりある、自惚れるほどに...、こんな子はその自惚れに気がつく時が来るまで大丈夫!』
と思うようになり、この段階では爆発の心配はしなくなりました。
'自惚れる'という言葉は響きがよくないかもしれませんが、自信を失って精神が病んでしまうよりもずっと良いと私は思っています。
貴子は、歩に比べると自信がなく、精神が病んでいる状態になっているようです。
多少、年を経て、彼女の暴力的な行動が影を潜める頃になると、
私は、彼女の行動や気持ちがなんとなくわかる気がしました。
そう思うのも束の間、彼女は私の理解を超える精神のレベルへ行ってしまいます。
作者の人間観察が真っ直ぐで、人間の内面を書きつつも、
『暗い部分をえぐって書いてやるぞ!』
という意地の悪い目線ではないことに救われます。
比較的、淡々と書かれています。
歩は幼い頃から、その環境を生き抜く術を見つけます。
"諦め" です。
私の比較的淡々と描かれているという印象は、彼の"諦め"を通してだからかもしれません。
彼の"諦め"は、約1年前に読んだ、
『反応しない練習』
[2015 / 作 : 草薙 龍瞬 (クサナギ リュウシュン/ 1969~)]
を思い起こしました。
『反応しない練習』については下記。
( 感動はしなかったので、メモ程度の内容です)
"反応しない"と"諦め"は、どちらも受け身でありながら、他者から影響を受けないようにするという点が共通します。
なので、歩が "諦め" の姿勢を選択したことに、納得が行きます。
物語は、テキパキと明るく書かれているのに不安が募ってゆきます。
どんな時でも、暗い影を感じ、その影によって、緊張感がありました。
自分の芯の部分が自分で構築できず、宗教へ頼ることになる人々や、選択の余地なく宗教が自分の思考になる (宗教で洗脳される) 人々、近くにいる頼れる人の思考に染まってゆく人々が書かれます。
(宗教で洗脳されることは良いのか悪いのかは、私には判断できません)
歩、本人も、あちらへこちらへと漂う時期です。
作者からの
「宗教とはなんぞや!?」
「宗教をどのように人生に生かす道があるのか?」
という問いかけを感じました。
'サラバ' とは、日本語の 'さらば' に由来する造語で、元の意味の 'さようなら' の他に、色々な意味を含みます。
私は、'アロハ' / 'Aloha' のようだなと思いました。
'アロハ'は、"挨拶の他に、愛、愛情、思いやり、好意、親切、慈悲、あわれみ、同情、恋人、愛する、など人の気持ち"(★)の意味があるそうなので、かなり物語の中の 'サラバ' と近いように感じます。
'サラバ' も 'アロハ' も短い言葉で多くを言い表していることに気がつきます。
First Volume
I bought "Saraba!" in Japanese : "Farewell!" in English
in 2017.
in 2017.
About the purchase is the previous section, below.
The main character of this book is "I'', Ayumu, his autobiographical novel told in his first person.
I'm not good at autobiographical novels, only two books remain in my heart, below.
Charles Dickens (1812 -1870)'s "David Copperfield" (1849 - 50) and
Kansuke Naka (1885 - 1965)' s "The Silver Spoon" (Japanese Edit,1921 / Iwanami Shoten / English Edit, 1976 / Translated by Etsuko Terasaki, Chicago Review Press, distributed by Swallow Press).
(I like "Silver Spoon" and I still have it.)
After I started reading "Farewell!", I wondered maybe I'm not good at this kind of the story and I was afraid to continue reading, though anyway I have read it.
Did I enjoy it? I'm not sure.
However, the enjoyment of reading may include suffering, if so, I think I enjoyed it.
It wasn't a bright story, it was painful to follow the feelings of the characters, and it was hard to read, so I had to take many breaks.
It starts with a unique sentence, below.
"I was born in this world from my left foot."
(Vol. 1 P.6 L.1 / Translated by me)
The first volume is from the birth of Ayumu to high school, and depicts his family, father, mother, sister Takako, his classmates and friends from each time.
The nature of his sister is uncertain, sometimes she becomes violent, and she has a bad relationship with their mother.
The early actions of Ayumu's older sister, Takako, are painful.
Ayumu is devoted to being a good boy, I felt sorry for him and worried that he may explode someday.
By the time his sister Takako entered primary school, her self-expression was so intense that I felt more frightened than the pain in her heart.
Ayumu is confident in himself, so much that he has complete self-esteem ..., such a child is okay until the time comes when he notices his self-esteem!, at this stage I no longer have to worry about an explosion.
The word 'self-esteem' may not sound good, but I think it's much better than losing confidence and collapsing.
Takako is less confident than Ayumu and seems to be in a state of illness in her mind.
Some years later, when her violent behavior was hidden, I felt like
I could somehow understand her behavior and feelings.
For a moment, she goes to a mind level that goes beyond my understanding.
The author's observation of human beings is straightforward, and while writing the inside of human beings, the author does not have a nasty perspective who will gouge the dark parts.
My impression is that is written relatively plainly.
Ayumu finds a way to survive the environment from an early age.
"Resignation".
My impression of being relatively plainly written may be through his "resignation".
I read the story through his "resignation"
His "resignation" reminds me of a book which I read about a year ago,
"Unresponsive Practice"
[2015 / by Ryushun Kusanagi ( 1969 ~)]
I remembered.
About "Unresponsive Practice", below.
(I wasn't impressed, so my writing is like a memo)
I think that "Unresponsive" and "resignation" are both passive, and are used by people so that they are not influenced by others.
The writer of "Unresponsive Practice" is a Buddhist monk.
Unless you have a mind like a Buddhist monk, it's hard to get along with a person who can't control himself or herself and can't think of the foundation by himself or herself, like his sister.
So, I understood that Ayumu chose his "resignation" attitude.
Although the story is written briskly and brightly, my anxiety grows.
At any time, I felt a dark shadow, and the shadow made me nervous.
"Farewell!" is written about people who can't build their own core and rely on religion, those who have no choice but to think of religion (brainwashed by religion), and those who rely on people nearby.
(I can't tell if it's good or bad to be brainwashed by religion)
It was time for Ayumu to drift here and there.
I felt the questions from the author,
'What is religion?'
'How is there a way to make use of religion in life?'
"Saraba" in the story becomes a coined word derived from the Japanese word : "Saraba"; "farewell" in English, which includes various meanings in addition to the original meaning of "goodbye".
I thought it was like 'Aloha'.
"Aloha" has the meaning of "love, affection, compassion, favour, kindness, mercy, sympathy, lover, love, etc.", so it feels quite close to 'Saraba' in the story.
I notice that both 'Saraba' and 'Aloha' express much in short words.
2) 下巻 / Second Volume
上巻が黒の本体で、下巻は白の本体なので、上巻よりは前向きな何か、明るい何かがあるのではないかと期待をしました。
期待したほどではありませんが、前向きに物語は終了するので後味は悪くありません。
下巻は、歩が関西から上京し、学生生活を始めるところから37歳までを書いています。
彼は、社会人としては、ライターになります。
英語で、'ライター / writer' は小説家を指しますが、日本語では、雑誌などへの記事を書く職業で、時に撮影もし、記事や本のアイディアを出版社へ提案したり、チームの編成もします。
文章を書く以外の雑用もかなり含まれます。
ライター生活を描かれる中で、
「アーヴィングは、物事をすべて等間隔で見てる感じがする。
出来事に優越をつけんと、同じ紙の上に置いている。
それって、小説の出来る、素晴らしいことやと思わへん?」
(下巻 P.90 L.11)
という文章が出てきます。
[アーヴィングは、ジョン・アーヴィング (1942 ~) で、アメリカの小説家]
この文章で、作家、西 加奈子の書き方の方針を理解しました。
下の文章は上巻の '諦め' との共通点に感じます。
「なんでもどうでも良くなるんよ」
(下巻 P.120 L.11)
物語全体の問いかけの答えは、
「〜 自分で、自分の信じるものを見つけなあかん、〜」
(下巻 P.121 L.17)
という文にあると思いました。(第6章のタイトルと同様でした!)
歩が30歳の時に、彼の髪が極端に薄くなり、彼の自惚れが崩れ始めます。
上巻で、'歩が自惚れに気がつく時が来るまで大丈夫!'と思った私の確信も崩れ始めます。
彼は気がついたのでなく、加齢による体の変化によって、自惚れられなくなるのです。
サンフランシスコから一時帰国した貴子と、歩が再会し、歩が貴子に
'何を見つけたか?'、
'何を信じているか?'
を聞きます。
彼女は
「バランスが大切なよね。
そのバランスを保つにも、体の芯、その幹のようなものがしっかり
していないとだめなの。〜」(下巻 P.227 L.14-15)
「幹。私が見つけたのは、信じたのは、その幹みたいなものなの」
(下巻 P.227 L.18)
と答えます。
この言葉を歩が理解できないことに、私は驚きを感じました。
上巻の感想で、幼児期からから高校時代の彼を
"歩、本人も、あちらへこちらへと漂う時期です”
と理解していた私は、このとき (33歳) にも、彼が大きく漂っていることを知りました。
姉と再会する以前に、物語では、浮遊する彼の描写はされていましたが、私は、ここで明確に彼の浮遊を知ったのです。
貴子は、誰の目からもわかりやすく漂う人生を歩んでいましたが、
歩は社会に同化しつも漂っていたのです。
貴子にも、
「〜歩には芯がないの。」(下巻 P.243 L.16)
と指摘されます。
貴子が言うことは当たっているかもしれませんし、愛情を伴った言葉であったかもしれません。
が、私は、
『えっ?あなたが言う〜?』
と多少憤慨する気持ちになりました。
貴子は必死に生きてきたかもしれませんが、彼女はあまりにも家族を犠牲にしましたし、その中に歩も含まれます。
歩に '芯' が育たなかったのは貴子の影響が多大にありました。
20歳をすぎてなお、自分の欠点を家族のせいにするのは間違いだとは思いますが、貴子の場合は強烈すぎました。
貴子がサンフランシスコで幸せになり、過去の自分を冷静に顧みられるようになり、弟の歩を心配するほどになれたことには、安心しました。
歩に対しては、曲がりなりにも文章を生業 (ナリワイ) としてきた人間が、ストレートに指摘されても、その意味を理解できないことに驚きを感じました。
その後、歩はかなり自虐的になり、さらに、友人であった須玖 (スグ) と鴻上 (コウガミ) が恋人同士になり、ほぼ自己崩壊状態に陥ります。
出家した父に会いにゆき、歩が知らなかった両親の歴史 (? / 話) を知ります。
私は、この家族の各自が家族として幸福を感じられない理由がわかりました。
それは、100%の幸福はほぼ皆無に近いと言うことがわからず、小さな幸せを幸せと思えないところだと私は理解しました。
父に会った後、歩は幼い頃、親友だったエジプト人のヤコブに会いにエジプトへ行きます。
私の中で、上巻で最も印象に残っていたのは、ヤコブとの日々でした。
この物語の中で、その部分だけ眩しく輝いていました。
歩がヤコブへ会いに行った時、この作家が
"出来事に優越をつけんと、同じ紙の上に置いている。"
と言うことを信条にしていると理解していた私は、もしかしたらそれだけではないのかもしれないと気がつきました。
この作家は、ヤコブとの日々が輝かしいものであったと読者に印象づけるように書いたのだと気がついたのです。
私は、まんまと作家の目論見 (モクロミ) にハマってしまったと言うわけです (笑) 。
ヤコブは言いいます。
「大切なのは、人が、ひとりひとり違うことを認めることだ。」
( 下巻 P.332 L.4)
「大切なのは、違う人間が、違うことを認めて、そして、繋がること
だ。
宗教なんて関係ないんだ」
(下巻 P.334 / L.15-16 )
理想論ではありますが、私は読みながらそうだそうだ!と彼に賛成しました。
が、歩は悲しく感じるので、『何故?』と、私には彼の悲しみがわかりませんでした。
『この 'ヘタレ' が!』と罵 (ノノシル) る気持ちがムクムクと起きてしまいました (笑)。
のちに、彼は彼の求める答えがヤコブから得られず、ヤコブと1つになることができず、大きな隔たりを感じて、悲しくなったと私は理解しました。
ここです、歩が100%を相手に求めるために、幸せになれないところです。
それでも、ようやく歩は自分の中の答えを見つけ、私をホッとさせてくれました。
この物語を読んでいる間、ずっと私は不安で、辛かった...
私が安心できた時に、作家は歩に小説家になることを決心させ、こう言わせます。
「化け物を書きたい」
( 下巻 P.348 L.1)
「なんですって!?」
私は、作家、西 加奈子がこの物語で書いた '化け物' にずっと怯えていたこと、苦しまされていたことに気がつきました。
<補足; または蛇足>
第6章のタイトル
「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」
が作者が最も読者に伝えたかったことだと思います。
ラッキーなことに私が信じるものは、20代で見つけたので、この言葉はあまり私には響きませんでした。
きっとまだ見つけられない人は心に響くのでしょう。
私の心に響かなくとも、賛同はしますし、私も自分で決めました。
Second Volume
Since the first volume has a black body and the second volume has a white body, I expected that there might be something more positive or brighter than the first volume.
Not as much as I expected, but the aftertaste isn't bad as the story ends positively.
The second volume is about Ayumu coming to Tokyo from Kansai region and starting his student life until he is 37 years old.
As a member of society, he became a writer.
In English, a writer is a novelist, but in Japanese, a writer is someone who writes articles for magazines, etc, and sometimes photographs, proposes articles and book ideas to publishers, and organizes teams.
The occupation also includes a lot of chores other than writing.
In portraying his life as a writer, there are sentences, below,
"I feel that Irving is looking at everything at regular intervals.
He puts things on the same paper not to give them superiority in the events.
That's a great novel. Don't you think? " (Vol. 2 / P.90 L.11/ Translated by me)
[Irving means John Irving, an American novelist ( 1942~) ]
In this sentence, I understood the writing policy of the author, Kanako Nishi.
I feel that the sentence below has something in common with his "resignation" in the first volume.
"I don't care about anything."
(Vol. 2 P.120 L.11 / Translated by me)
I thought that the answer to the whole story question is in the sentence, below.
"~ You must find what you believe in ~"
(Vol. 2 P.121 L.17 / Translated by me) (Similar to the title in Chapter 6!)
At the age of 30, his hair becomes extremely thin and his "self-esteem" begins to crumble.
My conviction in the first volume was 'such a child is okay until the time comes when he notices his self-esteem!', begins to collapse.
He didn't realize it, but the changes in his body due to aging make him unable to retain his "self-esteem".
When Ayumu met with his sister, Takako who had returned from San Francisco for a while, and he asked her
"What did you find?",
"What do you believe in?"
she answered,
"Balance is important, isn't it?
To keep that balance, the core of your body, is like a trunk which if it is not solid, it's no good. "
(Vol. 2 P.227 L.14-15 / Translated by me).
"Trunk. What I found was something like that trunk."
(Vol 2 P.227 L.18 / Translated by me)
I was surprised that Ayumu could not understand her words.
From the impression of the first volume, I understood that "It was time for Ayumu to drift here and there" from early childhood to high school, and I realzed that at this time (he was 33 years old), he still drifted greatly.
Before reuniting with his sister, the story had a depiction of him floating, but here, I clearly knew his floating.
Takako drifted in her life, that was easy to understand from everyone's eyes, but Ayumu was assimilated into society as well as he drifted.
His sister Takako also points out that
"~ Ayumu has no core."
(Vol 2 P.243 L.16 / Translated by me)
What Takako said may have been correct, or it may have been a loving word.
However, I felt a little indignant, how you can say like that?
Takako may have lived desperately, but sacrificed her family too much, including Ayumu.
Takako had a great influence on Ayumu's failure to grow the 'core'.
Even after people are 20 years old, I think it's wrong to blame their family for the people faults, but in the case of Takako, she was too intense.
I was relieved by Takako's position that she is happy in San Francisco, is able to look calmly at her past, and is worried about her younger brother.
As for Ayumu, I was surprised that the person has lived by writing, though imperfectly, and who could not understand the meaning even if Takako clearly pointed it out.
After that, Ayumu became quite self-tormenting, moreover, his friends Sugu and Kogami became lovers and he almost imploded.
He went to see his father, who is now a priest and was told about their family story, about his parents, which Ayumu had not known.
I found out why each member of this family does not feel happy as a family.
That is that the family cannot understand that 100% happiness is almost nonexistent, and each person thinks little happiness is not happiness.
After meeting his father, Ayumu goes to Egypt to meet his best friend Jacob, an Egyptian, when he was a child.
The most memorable part of the first volume for me was the days with Jacob.
In this story, only that part was shining brightly.
When Ayumu went to see Jacob, I realized that I had understood this author has a belief "He (an author) puts things on the same paper not to give them superiority in the events.", but she might not have only this belief.
I realized that the author wrote to impress the reader that Ayumus' days with Jacob were brilliant.
I say I'm successfully addicted to the author's plans (Laugh).
Jacob says.
"The important thing is to admit that each person is different."
(Vol. 2 P.332 L.4 / Translated by me )
"The important thing is to admit that different people are different.
And to connect.
Religion doesn't matter. "
(Vol. 2 P.334 L.15-16 / Translated by me )
Though this is an ideal theory, while I read, I agreed with him.
However, Ayumu feels sad, "Why? I don't understand his sadness.
My feeling of revilement rose, 'What a Chicken!' (Laugh).
Later, I realized that he couldn't get the answer he wanted from Jacob, couldn't be one with Jacob, felt a big gap, and was sad.
This is where Ayumu cannot be happy because he wants 100% of a companion.
However, Ayumu finally found the answer in himself and relieved me.
While reading this story, I was anxious and painful ...
When I feel relieved, Ayumu decides to become a novelist and the author makes Ayumu say :
"I want to write a monster"
(Vol. 2 P.348 L.1 / Translated by me)
"What was that!?"
I realized that I had been frightened and suffered from the 'monsters' that the author Kanako NIshi, wrote in this story.
< Supplement or Superfluity >I think the title of Chapter 6, "Don't let anyone decide what you believe in" (Vol. 2 P.263 / Translated by me) is what the author most wanted to tell readers.
Luckily, I found what I believe in my twenties, so this phrase didn't really resonate in my heart.
I'm sure those who haven't found this phrase will be touched.
Even if the phrase didn't really resonate in my heart, I agree with it,
I had decided for myself.
3) 表紙、再び / Covers, Again
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